ひつじ

黄金のアデーレ 名画の帰還のひつじのレビュー・感想・評価

4.5
ふと劇場で映画を観たいと思って、直前に選んだ作品。

オーストラリアのモナリザとも言われるほど国の宝となったある名画。そこに描かれた女性とその家族の辿った運命は隠されたままに。
とても優しく、けれど強い映画でした。ユダヤ人迫害、その悲しみや憤りだけが描かれているわけではありません。
ナチスのユダヤ人に対する様々な非道を描いた作品は数多くありますが、その中には直接的な描写があるために観る人を選ぶ、また万人には勧められない映画も少なくありません。

悲しみばかりを残した歴史を繰り返さない為には、何が起こったのか知る必要があります。
黄金のアデーレ、この作品はそのための大きなきっかけになるものだと思います。観る人を選ばない映画です。少しでも気になっている方には、ぜひ劇場に足を運んで観ていただきたいです。

'Remember us'
主人公マリアの父が彼女に言う言葉です。愛する娘へ宛てた言葉ですが、私にとってもこの家族と、そして他にも同様の運命を辿った多くの人々のことを忘れないでと言われたような気がしました。