ゆきぽん

黄金のアデーレ 名画の帰還のゆきぽんのレビュー・感想・評価

4.5
ヘレン・ミレン。この作品の主人公であるマリアを演じているが素晴らしかった。きっとこれは彼女の代表作の一つになるのではと思うほど名演だった。マリアはオーストリアに生まれ、ナチスによる迫害を受けてアメリカに亡命し、二度と故国には戻りたくないという複雑なキャラクター。マリアの心の機微を繊細に演じていた。

ライアン・レイノルズ、『デットプール』(2016)では主役を演じるなどコミカルな印象なのだけど、この作品では一味違う姿が見られる。
ライアンが演じるランディは祖父が作曲家シェーンベルクである若き弁護士。
オーストリアに行ってマリアの過去にふれ、自分のルーツに関係ある場所に行ってからガラッとかわってしまう様が劇的で、妻子にその決意を示すシーンでは感激してしまった。
全ては裁判のためであり、この映画の名シーンの一つでもある裁判でのスピーチまでは涙が止まらなかった。

マリアとランディの二人のシーンはほのぼのしていて、メガネを拭くところやキャンディを勧めるところなどやりとりに魅せられた。

タイトルの黄金のアデーレはクリムトの描いた〈アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像〉という名画から。
名画を巡る返還訴訟とか難しそうなテーマだが、映画はわかりやすく、現在から過去の回想シーンへの流れも良かった。

オーストリアでのアデーレのシーンや結婚式のシーンはキラキラしていてまるでスクリーンが黄金のように感じられた至高の映画体験だった。

2015年劇場で観た締めくくりの作品。