たくちむ

黄金のアデーレ 名画の帰還のたくちむのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

かつて理不尽に奪われたもの。
それが自身のアイデンティティを強く形成するものだとしたら、多くの人々の想いも背負っているものだとしたら。

もちろん取り返しに行きたい。
しかしながら、それが過去であればあるほど難しい。
証拠や記録が薄れていくのだから。

そこで必要なのは、過去を正しく顧みて、新たな一歩を進もうとする勇気だ。
様々なものが薄れていく中で、必死に解決の糸口を探そうとすれば何かがみつかる。
実際に取り戻せるかどうかは別として、まずはこの姿勢が必要だ。

そして、奪った側と取り戻す側、両者がこの心意気を持ち続けなくてはならない。
本映画においても、解決から非常に遠くなったのは、マリアとオーストリア政府のどちらかが歩み寄ろうとした時だ。

過去の愚行は起こしてしまったことだから、今更その事実を変えることはできない。
その過去を愚行のままで終わらせるか、新たなスタートへのきっかけととらえるか。
たくちむ

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