広島カップ

黄金のアデーレ 名画の帰還の広島カップのレビュー・感想・評価

3.8
絵画を介したナチス批判の代表作としては『大列車作戦』(1964)をすぐに思い出しますが、本作もクリムトの名画を通してのナチス批判です。
老女(ヘレン・ミレン)がクリムトの名作"アデーレの肖像"の所有権をめぐって裁判で争う相手はオーストリア政府ですが真の敵はナチス。

当該名画は老女にとってはオーストリアにナチスが侵攻して来る前の幸せに暮らしていた家族の象徴。

『大列車作戦』のレジスタンス鉄道員とは違い老女は裁判を通して家族の幸せをズタズタにしたナチスに対して鉄槌を下したことにはなりませんでしたが、奪われた家族の想い出を少しでも取り戻せたというラストの彼女の幸せそうな表情が、間接的に「ナチスのアホ!」と言っています。
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