COZY922

完全なるチェックメイトのCOZY922のレビュー・感想・評価

完全なるチェックメイト(2014年製作の映画)
3.5
『天才と狂人は紙一重』『天才は狂気の一形態である』

偉大な作家、芸術家、科学者など天才と呼ばれる人の中には精神的な障害や疾患を抱えていたり奇行を繰り返す人の割合が一般人より多いと言われる。ちょっと考えただけでもピカソ、モーツァルト、ゴッホ、ヘミングウェイ、太宰治・・とたくさん名前が出てくる。常人とは違う優れた創造性や先見性を持つ人々。その異端にも見える圧倒的な才能故にバランスを崩しやすいのだろうか?真理はわからないけれど、ボビー・フィッシャーの物語を観ながらそんなことを思った。

東西冷戦時代の1972年、米ソのプレイヤーで争われたチェスの世界王者決定戦は代理戦争と言われた。両国の威信をかけた戦い。アメリカ側 ボビー・フィッシャーを演じたトビー・マグワイア。もう〜、彼の狂気じみた表情や 音に対して超神経質で壊れた感じがキモいし イライラするし 何かとヤバい( 褒め言葉 ) 。

対局中の顔のクローズアップと空を彷徨う視線の先。カメラワークが醸し出す、先の先までシミュレーションしながら次の一手を考える ” 頭の中のグルグル感 ” 。観ながらなんとなく平衡感覚が薄れていくような錯覚を覚える。チェスの手を厳密に追う描写にはなっていないけれど、心理的な圧迫感が伝わる場面だった。

そして、破滅型天才の辿る道。幸せかどうか、幸せだったかどうかはもちろん本人が決めること。だけども、素晴らしい才能と その知られている範囲の人生を対比した時、はた目には必ずしも幸多い人生には見えないのが とても皮肉でとても切ない。