あらた

明烏 あけがらすのあらたのレビュー・感想・評価

明烏 あけがらす(2015年製作の映画)
1.0
人生ワースト級。
作り手のとことんナメた姿勢が気にくわない。
題材であるホストや落語も、パロディの対象とした北の国からも、はては映画を見ている客までも、心底ナメきっている。

特に観客を馬鹿だと思って笑わせる努力を怠っているのがコメディ映画として致命的。
「変な顔したり大声だしたりしときゃ客も笑うっしょ」という姿勢が透けて見えている。
役者の顔芸にいちいち「ポヨーン」だの「シャキーン」だのクソつまらないSEを付けても笑えないし、かえってイライラした。
軽めのコメディだからといって作り手の姿勢まで軽薄であってはならず、ちゃんと一生懸命考えて笑わせにかかってほしい。

ストーリーも破綻している。落語の芝浜を下地にしているのだが(なぜタイトルが芝浜ではなく明烏なのかは理解不能)、その芝浜も浅くしか理解していないことが丸わかり。
例えば、この映画も芝浜も最後に改心した主人公が酒を飲むのをやめて「また夢になったらいけねえ」と言うところで終わるのだが、芝浜のそれは酒を断ち魚屋として真っ当に生きていく意志の表れであり、主人公の成長の証だ。しかし、この映画では、立派なホストになると決めた主人公が同じセリフを言うのだ。
えっと…ホストなのに酒を断つの?それ、ホストとして物語のスタートよりも後退してない?
と、同じセリフなのに全く主人公の成長を描けていない。
表面的なレベルで真似しているだけだからこんな矛盾が生じるように思う。

太宰とか北の国からに対する扱いも不誠実の一言。ホストクラブの客やサラリーマンへの蔑視も不愉快。
菅田将暉や新井浩文といった本来上手い役者も、この映画だと変顔して大声出してるだけで、下手な役者に見えて気の毒。吉岡里帆も頑張ってる分、かわいそう。
正直スコアは1.0でも高いが、これより低い点をつけられないので仕方ない。
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