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教授のおかしな妄想殺人のRのレビュー・感想・評価

教授のおかしな妄想殺人(2015年製作の映画)
4.7
何これ、めちゃくちゃおもしろいやん…エマストーンが今まで以上にすばらしい魅力で輝いてる。時々最終形態のマイケルジャクソンに見えるけど、それも含めてほんと魅力的。さすがウディアレン、女優の輝きをとらえるのがうまい! 彼女が演じる男子からモテモテのジルが通ってる大学に、哲学の教授としてお腹がボテっと出てるけど魅力的なエイブがやってくる。エイブは奥さんの浮気や親友の不条理な死によって人生に絶望してて、哲学は哲学者の言葉を使ったオナニーでしかないと言い切る。愛に溢れた彼氏がいるにも関わらず、エイブと何度もデートを重ね、彼のシャープで時に過激な視点と、人生に裏切られた者の持つやさぐれた魅力に恋しはじめるジル。若い彼女の刺激を受けても何も変わらない彼の人生を、近所のダイナーでの見知らぬ人たちの会話が大きく変えてしまう…という流れで、まず、おもしろいなーと思うのが、彼の変化は人生のなかでの目的が生まれるところから起こるということ。やっぱ人間が絶望したり無気力になってしまうのって、人生の目的がハッキリしてないとこに原因があるんやなーというのがよく分かる。その目的が、まさにドストエフスキーの罪と罰的、エイブは息を吹き返し、どんどん話が面白い方向に転がっていく。哲学、絶望、罪と罰、というヘビーなテーマで、演出のしようによってはめちゃめちゃズーンとくる映画になってても全然不思議はないけど、そこはウディアレン、チョー軽やかで楽しいコメディタッチ、始終ウキウキ見れます。いつものように偶然の皮肉が本作でもピリッと辛口に効いてて、ロシアンルーレットが外れて、ルーレットが当たって、ジルがちっさいフラッシュライトをゲットするとことか、アレンらしいさりげない無理やりさが面白いし、最後の、はいはい、もうこれで話終わらせるよ、的な強引なエンディングも最高! 結構ショッキングなラストなんやけどね! あの女教授の顛末を見せない意地悪さもすごく好き! やっぱ最近のウディアレンは力の抜けた演出の巧みさがすばらしいわ! 見終わったあとの歓びが深い。見事としか言いようがない。あと、ずっと流れてるThe In Crowdという曲も最高! 僕の人生にもずっと流れていたい。DVDの映像が若干ビミョーだったので、是非ともBlu-rayでもっかい見たい! ウディアレンのトップクラス! もう何本か見たら、俺のアレンランキングを発表したいと思う。
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