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教授のおかしな妄想殺人のkensteadyのレビュー・感想・評価

教授のおかしな妄想殺人(2015年製作の映画)
3.3
まず邦題で損してる。原題は『Irrational Man(理性的でない男)』。

「道徳的行為としての殺人を正当化できるか」という一種の哲学的議題をコメディタッチで描いた作品。“正しい行為vs正しくない行為”と“良い事vs良くない事(≒悪い事”というマトリックスで表されることが多い。マイケル・サンデル『これからの正義を語ろう』参照。

そもそも殺人なんて「自分にとっての正義に従って行う反社会的行為」なんだから葛藤があって当たり前だし、哲学的に議論できるほど理性的なものではないからこそ、最初の方でエイブル教授が「哲学なんて言葉の自慰行為」と話してるんだろうけどね。

同じテーマで、フランス人監督が作品を作ったらもっと堅苦しくなってただろうけど、さすがウディ・アレンだけあって軽くサクッと楽しめる。最後のオチ(実際に落下するけど)はまあ取ってつけたようだけど、本作で大事なのはそれまでの過程だからエンディングは何でも良いんだろうね。
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