つるみん

64 ロクヨン 前編のつるみんのレビュー・感想・評価

64 ロクヨン 前編(2016年製作の映画)
3.5
【後編のための土台】

昭和64年に起こった少女誘拐事件。
冒頭で完全にこの作品に引き込まれる。わずか7日間で終わった昭和64年。そんな中、日本全国は昭和天皇の崩御のニュース〝平成〟に年号が変わることで少女誘拐事件は一瞬にして忘れられてしまう。

それから14年が経ちその時まで鮮明に覚えていて忘れられないのは担当した刑事と娘を誘拐された家族や親戚、そして犯人。未解決のまま時は過ぎ、時効があと1年に迫った今、広報官の三上(佐藤浩市)が動き出す。

前編、後編と二部作に分かれて公開する本作品。前編は刑事ものというより非常に重厚なヒューマンドラマとなっていた。当時の事件を担当した三上は1年前から警務部秘書課広報室・広報官となり様々な事件を担当していた。しかし彼の中には昭和64年の少女誘拐事件が残っている。通称「ロクヨン」と呼ばれる事件は14年経っても蹉跌をきたしていた。

広報室と記者クラブの対立、失踪した娘、そして新たな誘拐事件が三上の日常を襲う。
前編は完全に後編の為の土台作り。謎に包まれた幾つもの伏線は後編にどのように繋がるか期待が膨らむ。

豪華な俳優陣の演技は文句なしの一言。主人公演じる佐藤浩市は勿論の事、台詞がほとんどなかった窪田正孝まで全てのキャラクターが深い意味を持っていた。フラッシュバックの多用は話が進むにつれ徐々に明らかになる構図を表していた。

後編につづく。
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