ちろる

ヴィクトリアのちろるのレビュー・感想・評価

ヴィクトリア(2015年製作の映画)
3.5
ドイツのベルリンのとあるクラブ。
テクノの音が響く激しいネオンのハコの中で1人踊りまくるマドリッドから来た女。
夜明け前にクラブの外に出たとき、耳元に音の余韻が残る感じも伝わるような140分ワンカットの映画の出だしにちょっとだけ期待感も高まる。

クラブから出た後は、ずっと不穏な、やな予感しかしないんだけど、意外とその考えていた不安は杞憂に終わったり、でもそれが終わると又ヤバそうな雰囲気か訪れたりの繰り返しでじわじわと、そして時にはダラダラと、思わせぶりに焦らされていって、中盤からは一気に後戻り出来ない状況へ追い込まれる。

まぁ、誰もが思い浮かぶのは「ヴィクトリア、バカなの?」という言葉。
どう考えても後戻り出来る選択肢はいっぱい転がってたのに、最終的にはたくましさすら見せながら自らをどうしようもない状況に追い込んでいく。

主人公ヴィクトリアがヘラヘラと笑顔で流されて明らかに危険なニオイの方へ引き寄せられていくのは、クラブで飲んだ強いお酒のせいか、それとも1人言葉の分からないドイツでの孤独感のせいだったのか。。。

全くもってこの作品の誰にも共感できないけれど、最初とラストの方に登場するクラブのシーンは、この映画の中においてはある意味最も守られていて、安心できる楽園のようだったので、そこにいてバカ騒ぎしている彼らだけは唯一観心地が良かった。

140分マジもののワンカット。とにかく役者さんの緊張感が半端なかったと思うので感心するし、会話の感じやパニックシーンなどのあのリアル感はこの撮影方法ならではなんだろうと思う。
切れ目が無いので時間軸もほぼ同じ観るなら昼間じゃなくて、彼らが過ごした時間と同じ明け方前辺りのシーンと静まり返った中で観ることをお勧めします。
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