青山

ヴィクトリアの青山のレビュー・感想・評価

ヴィクトリア(2015年製作の映画)
3.6

家出した少女ヴィクトリアは、クラブで出会った男たちと意気投合する。しかし、やがて彼らが抱えるギャングとのいざこざに巻き込まれて......。


というわけで、140分全編ワンカットの衝撃!でございます。
今どきなら編集でワンカットっぽく見せることも出来そうなものですが、本作に関しては本当にワンカットでやってるそうです。脚本は12ページとかしかなくて細部の会話などはほぼアドリブらしいです。

まず当然、140分に渡って長回しを続けて、多少はちゃめちゃではあるけどちゃんとストーリーを完結させてるのは凄いです。
何より長回しでありながらめちゃくちゃロケーションが動くのが凄いっす。
夜の街を歩き回る場面はそのリアルタイム感によって夜遊びしてる特別感が伝わってくるし、後半では車移動までしてるから撮るのめっちゃ難しそうだよなぁとメタ的な意味でハラハラしちゃいました。
あと、途中でたまに音が消えてBGMだけになるところがあるんですけど、あそこで監督から声で指示が出てたり、あるいは走り回ってるカメラさんが「はぁ疲れたわあ」とか言ってたりするのかな、みたいなとこも想像しちゃって面白かったです。

ただ、良くも悪くもワンカットという趣向ありきな感じではありますね。
脚本が大まかな流れだけだから、ストーリーも当然めちゃシンプル。
それを140分もやられると、内容としてはとても冗長にはなってしまいます。
あるいは劇場で真剣に見る分には撮影法の部分だけで飽きずに見れるかもしれませんが、家でたらっと見てるとどうしても飽きてくるんですね。

まぁただ、ストーリーも140分尺だと冗長とはいえ面白かったですけどね。
なんてったってヴィクトリアのキャラが良い......。最初は「知らん男にほいほい付いてくなよこのビッチ!」と思いましたけど、身の上話あたりからは「うんうん、つらかったね、幸せになってくれや......」と思うんだけどしかし実際にはどんどん悪い方へ転がっていってしまうのでどうしても応援したくなっちゃいますよね顔可愛いし。でも後半思わぬ強さを見せてくれるのもいいですよね顔可愛いし。

そして、ラストシーンまで観てみると、あぁ、ワンカット成功したわぁ〜という感慨と、たった2時間で彼女の人生が激動したことへの感慨と、特別な一夜が終わったことへの感慨なんかがじわーっと押し寄せてきて、なんだかんだ文句を言いつつも印象に残る作品でした。
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