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ヴィクトリアのtetsuのレビュー・感想・評価

ヴィクトリア(2015年製作の映画)
4.0
『1917』でワンカット映画が気になり、鑑賞。

激しく点滅する光。
ここはベルリンのナイトクラブ。
ある理由でやって来たスペイン人女性・ヴィクトリアは4人の男性と遭遇。
彼らと親しくなった彼女は共に夜の街を歩きまわるが、次第に思わぬ事態へと巻き込まれてしまう...。

飲み会から帰って、家で観たい映画No.1ですね。これは...。
あ、そんなに軽いノリで観れる映画でもないか...。笑

絶対に体験したくない悪夢の様な一夜が描かれる本作。
体感時間は長いんですが、それでも、やはり観れてしまうのは、ワンカットならではなのかもしれません。

正真正銘140分ワンカットで、ドキュメンタリーに近いリアリティー*と映画ならではのフィクションが混在した見事な作風。
実際の脚本は12ページのみしか用意されていなかったらしく、それゆえに即興劇に近い面白さがありました。
*実際、劇中には一般人に絡まれるシーンが登場する。

また、音楽の使い方も印象的な作品で、登場人物がピアノを演奏したり、適度に劇伴が挿入されることで作品に緩急を与えているところが見事でした。

"ある過去"を抱えた彼女が運命に翻弄され、次第に変わっていく本作。
登場人物との距離感が比較的近くから撮影されたワンカット手法とリアルタイム進行の物語によって、自然と人物に親近感を抱くことになる140分。
彼女の運命が決まるラストカットに注目してほしい一作です。

参考
2時間14分ワンカット!驚愕のドイツ映画がきた!少女の冒険が悪夢に『ヴィクトリア』|監督語る「俳優たちに『決して止まることのない川をイメージしてほしい』と言った」 - 骰子の眼 - webDICE
http://www.webdice.jp/dice/detail/5112/
(本作における彼女の変化は、これを読んで、かなりしっくりきました。)

ワンカットで2時間13分を撮りきった『ヴィクトリア』、その現代ドラマとしての迫真性|Real Sound|リアルサウンド 映画部
https://realsound.jp/movie/2016/05/post-1693.html
(めちゃくちゃ、文章の書き方の参考になりますね...。リアルサウンドさん、さすがです。)
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