福福吉吉

インフェルノの福福吉吉のレビュー・感想・評価

インフェルノ(2016年製作の映画)
4.0
宗教象徴学教授のロバート・ラングトン(トム・ハンクス)は、気がつくと病院のベッドに居た。ロバートは頭を負傷し、記憶を一部喪失していながら、女医のシエナ(フェシリティ・ジョーンズ)に状況を説明される。そんな中、ロバートは謎の人物やWHO(世界保健機構)に追われることになり、ロバートはシエナの協力のもと、手に入れたバイオチューブに示された暗号を読み解き、人類を危機に陥れるウイルスの存在を追う。そこには詩人ダンテの作品「地獄篇」になぞらえた人類滅亡計画が隠されていた。

「ダ・ヴィンチ・コード」「天使と悪魔」に続くロバート・ラングトン教授を主人公にした作品の3作目です。

本作ではイタリア中世の詩人ダンテの叙事詩『神曲』の一篇である「地獄篇(Inferno)」を題材にして、ダンテに関わる建築物や絵画などに関連づけたミステリーサスペンス映画になっています。その中で、人間の爆発的増加による滅亡、というテーマを組み込んでいることでスケールの大きな話になっています。

私はダンテが歴史的な人物だということぐらいしか知りませんが、十分に楽しむことができました。ロバートがダンテに絡めた謎を解いていきますが、ロバートが説明してくれるので「そうなのか~」ぐらいの感じで捉えて、ちょっと知的なミステリーのあるアクション作品だと思って楽しめばよいと思います。

ストーリーの最初に、ゾブリスト(ベン・フォスター)が人類をウィルスで減らすことにより未来の人類滅亡を防ごうという計画が明らかになり、その後、ロバートが記憶喪失の状態で話が進むので、訳の分からないまま、緊迫感のある展開が続いていき、嫌でもロバートと同じような状態でストーリーにのめり込むことができます。
そこから、WHOや謎の組織に追いかけられる展開が続いていくので、誰が敵で誰が味方か分からない不安な状況の中、ロバートの活躍を楽しむことができます。

本作は直接的に宗教と絡んでいないため、宗教象徴学というロバート・ラングトンの研究とは若干ずれた内容のように感じました。まあ、前作、前々作で並外れた知識と暗号解読の力をロバートは持っているので、能力的に申し分ないですけどね。

アクション要素が強く、その分、ミステリーとして薄れている感じがしますが、イタリアを始め私の知らない遺跡や遺物に触れることのできる作品としての楽しさは健在です。とても面白かったと思います。
福福吉吉

福福吉吉