ドナルド

怪物はささやくのドナルドのレビュー・感想・評価

怪物はささやく(2016年製作の映画)
3.5
正直、かなり難解な作品だった
だが、良作に変わりはない

そう思ってしまったのは、恐らく
怪物が何者なのかハッキリとしていないのと、怪物が語る物語の全てが矛盾していて曖昧だからだ。
怪物はコナーの心の闇から産まれていると思っていたが、コナーに諭すように物語を語ったり、真実を言えと言ったりと、「コナーの心の化身」と言う表現は適さないような言動をとる。

そして、12時07分、これもまた妙な疑問が起きる。
観た人はわかると思うが、観終わったあとこれの時系列に違和感を感じると思う。
これは、現在進行形の物語なのか、過去にあった出来事を現在進行形で話しているのか定かではない。

また、3つの物語
全てが矛盾していているが、それが現実であり、熟考させられる。
短いのに、一生かけても答えが出ないような物語ばかりなので正直、これは映画よりも本の方が自分のペースで読めるので適している気がする。

先程から批判ばかりを列記しているが、
別に悪意があるわけではない
むしろ、最初に述べた通り良作である

3つの物語の際の水墨画の話の流れ方が本当に素晴らしく幻想的で美しい。
そして、物語が深い。
また何より、凄いのが13歳の子供であるのにも関わらず、大人ですら目を背けたくなるような現実に真っ向から直面し、心が壊れていく主人公を演じた子役の演技が本当に素晴らしい!!!
彼が自分の思いを叫ぶシーンはすごく心に響いた。
また、主人公の痩せこけた顔や、母親の病弱な顔を作り出すメイク技術も素晴らしい。

上映している映画館が少ないので、観たい方は遠出をしなければいけないと思いますが、観光や食事目的にプラスして映画を見ると絶対にもとはとるので是非是非、足を運んでみてはいかがでしょう