Ryo

怪物はささやくのRyoのレビュー・感想・評価

怪物はささやく(2016年製作の映画)
4.0
不都合な真実を認める覚悟
不可能な状況を良くしようと努力しようとするより、現実を受け止める強さを身につける。


今作の三つの物語含め物語とはほとんどが創造された嘘の物語だ。しかしその嘘が真実を語ったり人生の教訓となるのは非常におもしろい。


ー三つの物語が表すものー
不都合な真実を認める覚悟
1つ目は「人類は単純な善悪には分けれない」
2つ目は「自らの信念を捨て去ってはならない」
3つ目は「注目を浴びるために目立つ事しみんなが自分を見ると、前以上に孤独を感じる」
4つ目は「抱きしめることによってその人から離れられる」

4つ目のストーリーはママが早く死んで(ほぼ確実に死ぬとわかっている状態)この辛い状況から抜け出したいという思い。それを告白することで現実を受け止める強さが身につく。

ー怪物の正体ー
怪物が来た理由ーコナー自身が呼び、母の死を受け入れられるためにやってきた。怪物が出現する12時7分は母が亡くなる時間であり、悪夢を見る時間である。
おそらくあの怪物はコナーの祖父です。祖父はキングコングが好きで娘の部屋にもフランケンシュタインの人形を置いています。その血を引き継いでるのがコナーとコナーとお母さんです。だからお母さんにも怪物が見えていた。

怪物を演じたリアームニーソン。祖父であろう写真に写っていたのはリアームニーソン。さらにラストのイジーの絵本の中の「女の子を肩に乗せる怪物」の絵の構図とニーアムリーソンが少女を抱えてる写真と似ていた。


ー怪物にリーアムニーソンを配役した意味とはー
リーアムニーソンの妻ナターシャ・リチャードソンは、2009年3月16日にカナダ・モントリオールのスキー場でスキー中に転倒した。帰宅後、彼女は激しい頭痛を訴え、ニューヨーク市内の病院に入院した。その後、昏睡状態になり脳死状態になった。2日後の18日、事故前の本人の希望に従い、人工呼吸器を含めた全ての生命維持装置が取り外され、彼女は45歳の若さでニューヨーク市内の病院にて死去した。次男である13歳の息子はコナーとほぼ同い年。その年頃の男の子が母親を失い辛さを癒す役をリーアムニーソンがやるのはかなり重要です。


ー怪物が伝えたいこととはー
’’人間の心は、毎日、矛盾したことを幾度となく考えるものだ。おまえは母さんにいなくなってもらいたいと願った。一方で、母さんを助けてくれとわたしに懇願した。人の心は、都合のよい嘘を信じようとするものだ、しかし同時に自分をなぐさめるための嘘が必要になつような、痛ましい真実もちゃんと理解している。そして人の心は、嘘と真実を同時に信じた自分に罰を与えようとするのだ。’’ー原作より

死と生の間でもがいてるのが辛いコナーに正直な気持ち、真実を受け止める覚悟をつけてもらいたかったから。母親にもう死んで欲しいと願ってる気持ちを。
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