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怪物はささやくのOneEyedJOKERのレビュー・感想・評価

怪物はささやく(2016年製作の映画)
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本作を制作した、フアン・アントニオ・バヨナ監督は、迫力ある手の込んだ映像で作品を勢いまかせにすることなく、その中でも人間ドラマをしっかり描くという事に確かな才能を持つ人物だと思う。

本作【怪物はささやく】は、ファンタジーだからといって子ども向けではなく、大人でも考えさせられる深層的テーマに踏み込んだ人間ドラマではないだろうか。

普通、大半の観客は映画というエンターテイメントに解り易さを求める事は多いにある。
本作はそうでは無い。
むしろ難解で「実際の世の中は、人生は、人間は、難解なんだよ」と教えてくれているようだ。

これは本監督作品の持ち味なのかもしれまないが、カメラワークがとても良い。
何かがコロコロと転がるのをカメラが追っていき、観客の視点ごと釘付けにする手法や、登場人物をメインで映しているカットの背景に重要なモノが映っているとか。じっくり観ているとハッとさせられ「何か重要な手がかりやヒントを見逃しては!」と
引き込まれてしまう。

ビジュルア面に関しても本当に申し分なく、ダークファンタジーという言葉がぴったりの作品だろう。

ただ「CGと実写を組み合わせた美術は素晴らしいし、素敵なシーンも多いし、ストーリーも好きだし、スゲー良い映画だなぁ…」と感動しつつも、どうしても【パンズ・ラビリンス】と比較したりしちゃったんだなぁ。

でもまぁ、一個人の順位は どうあれ
時間をかけて、じっくり作られたダークファンタジー。
子供には多少難解すぎるかもしれないが、
良質のダークファンタジーをご覧になりたい方是非。
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