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怪物はささやくのshihoのレビュー・感想・評価

怪物はささやく(2016年製作の映画)
3.1
画用紙の上を鉛筆が走り、絵の具の液が広がる。
夜中の暗闇に轟々と燃え発光する怪物が浮かび上がる。
そんな表現面での質感的な美しさは良かった。

主演の男の子はデイン・デハーンに似ててかわいくて演技も良かった(ほとんど笑顔になれるシーンがなかったのが残念だけど)。
母親役の人の演技も良かった、
本当に重病で死にそうに見えた。
特殊メイクグッジョブ。

ただどうかな?
ストーリー自体はとても退屈に感じてしまった。
まず、「怪物」が完全保護者なのが一目見てわかるのね。
この怪物は少なくとも登場時はもっと怖くて底知れなさがないといけないのでは?と思った。
あと怪物の物語もダークな教訓めいたお伽話ですねってぐらいでそこまでストーリーと上手く噛み合ってたとも思えないのね。
怪物っていうより孫を見守るおじいちゃんに近かった。

でも最後明かされる真実にはグッときました。泣いた。
母親との会話にも泣いた。

子供は親の知らないところで強くなるかもしれないけど、この子の場合甘えられる相手がいなかった。子供は知らなくていい大人の事情が嫌でもわかってしまうし、子供らしく振る舞える保護者がいなくて、抱え込んだ辛さと孤独感が怪物を生み出したのだろうなと思うと可哀想だった。

強く生きろ少年!
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