いかえもん

怪物はささやくのいかえもんのレビュー・感想・評価

怪物はささやく(2016年製作の映画)
3.6
7月終わりに観て、内容が消化しきれないまま今日にいたる…。
これすっごく自分には難しかったです。

不治の病を抱えた母親をもつ少年が空想の中で現れる怪物の語る3つの物語を聞き、4つ目を自ら語らねばなならない。そして必ず真実を語れという。

病気を抱えた親をもつ子供の精神状態ってすっごく不安定なんですよね。親が死んでしまうかもしれないという不安って、子供にとってはこれ以上ない恐ろしいことで、その精神的ストレスたるや想像以上のものがあります。なんせ、自分の生存に関わるわけですから。そしてそれは大人になってからも尾を引くことがあるとも言われます。そういう不安定な子供の心理を描いた映画なのかと思っていたんですが、多くの人のレビューを読んでみると、思春期の子供が大人になる上で、自分の中の負の感情と向き合うという面が描かれているとされている方もいて、それもなるほどそうですよね。確かに最後に語られる彼自身の真実の物語の中にはそういう部分があったし。

そんなこと考えちゃいけないっていうことがストレスになるんですよね、実は。ほんとは心の中では何を思ってもいいわけです。それを全部どばーっと表に出して人に嫌な思いをさせるのは、それは色々問題ありますが、自分の心の中くらいは自由でいてもいいのではと、大人になった、はず、の私は思います。
母親に対して死なないでほしい、一人にしないで、と思う一方で、こんなに苦しいならもう苦しめないでくれ…という気持ちが葛藤するのはわかる気はする。

まあ結局何がどうなのか難しくてつかめなかった印象が強い映画なんですが、特に物語が語られるところの影絵のような映像はすごくよかったです。