12時07分。
怪物は少年に3つの物語を囁き始めた。
1つ目は、王妃と王子の物語。
それは“人間の多面性”
2つ目は、薬剤師と牧師の物語。
それは“人間の矛盾や脆さ”
3つ目は、透明人間の男の物語。
それは“人間の孤独”
4つ目は…お前が話すのだ。
少年コナーの前に突如現れた怪物が囁く3つの物語は“人生の教訓”である。
そして、まだ13歳の少年がひた隠す4つ目の“真実”は、あまりにも切なく悲しい物語だった。
人生には受け入れなくてはならないことが沢山あり、それらはこれからもまだまだ待ち構えているであろうことを、たった13歳の子供に促すのは本当に辛い。
もし、誰もが救われるラストなら…“怪物の囁き”は、ただの絵空事となってしまうだろう。
しかし、“人生の教訓”を諭す怪物が、その役目を果たし、無事に終わりを告げる大団円が用意されていたとしても、充分「名作」に値する内容だと、私は思う。
久々に打ちひしがれる思いの作品だったが、50年、さらには 100年先も評価され続ける「名作」には違いない。
何故なら、怪物は我々人間に “不変と普遍”、そのどちらも説いているからだ。
203 2020