SF的な展開を想像させるサムネイル (扉絵) が気になり鑑賞した。
映画序盤は若者3人 (うち2人は恋人の関係) のロードムービーといったトーンで、派手だったりケレン味を感じる画はないが、丁寧で上質な広い風景の力も借りて物語世界に引き込む演出がされている。
ある人物がいると思われる場所へ3人が訪れるタイミングから物語が大きく動き、そこからがこの映画の本題的な話になってくるが、映画のジャンルごと急旋回するような演出は面白い。
ローレンス・フィッシュバーン以外の俳優達は (この映画の公開当時は) それほど著名ではなく、製作予算も多くなさそうだが、VFXの使いどころを絞ったり、実写風景の構図や照明の作り方が丁寧なので、低予算感はそれほど感じない。
謎がどんどん増えていくサスペンスSF的な話の運び方は面白く、終盤ではある程度それらの謎についての真実もしくはその示唆が提示される。
ただ、全部を事細かに説明して回収するというよりは、あれはもしかしたらこういうことだったのかもと想像の余地が広がる程度にとどまっているので、それを楽しいと感じるか消化不良に感じるかは観る人によって分かれそう。
結末ではいかにもSF的なある画が広がり、驚きもあるにはあるのだけれど、過去の古典SF小説や映画作品でさんざん使われてきたネタとほぼ重複しているので、個人的にはうーんちょっとなあと思ってしまった。
色々惜しいなと感じるところがありつつ、丁寧な作りで少し不思議な世界を見せてくれるSF小品といった印象の映画だった。
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