ブラックスプロイテーションの代表作のひとつ。作中で頻繁に使われるカーティス・メイフィールドのサウンドがめちゃくちゃカッコいい。気だるげでお洒落なファンク・ミュージックにいちいち痺れるし、特に有名な「Superfly」は秀逸と言う他無い。とはいえ映画そのものは地味でカーティスの音楽に食われてる感は否めない。展開の起伏の乏しさもあってストーリーは概ね退屈だし、目を引くような演出も見当たらないので映像的にも大したことはない。低予算ゆえに全体的にチープで、良くも悪くも粗削りに纏めているような印象が強い。
それでもこの映画がニクめないのは、前述したカーティスの音楽を始めとする個々の要素で惹かれる部分が少なくないからなんだよな。作中で描かれる黒人コミュニティーには70年代当時の様相を伺わせる生々しいムードがあるし、登場人物達の奇抜なファッション（DVDの特典映像で解説してくれるのが嬉しい）も大胆でイカしている。タイトルロゴのデザインも超クール。そして白人に媚を売りながら生きる道を突っぱねて自由を求めた主人公の姿はまさしくブラック・パワーの魅力そのもの。映画として諸々の拙さは否定できないものの、当時のブラック・カルチャーを担っただけあって独特の味わいを感じられる一作だ。
