ため息といき

だれも知らない建築のはなしのため息といきのレビュー・感想・評価

2.9
シアターキノにて、「だれも知らない建築のはなし」。個人的にはとても楽しめた。けれど、謳い文句の「専門的な知識がなくても(楽しめる)」はちょっと怪しい気が。建築関係者ではない人にこそ見てほしい内容だなと思ったのだけれど、ちょっとハイコンテクストでは、、
それにしても、コールハースの言葉は群を抜いて冴えていた。日本人に対する、「コミュニケーションができていないおかげで、オーラがある」「説明できないからこそ、飽きられない」という分析は特に。これは何も建築に限らない話で、日本の文化そのものにそういう面があると思う(そして生じる、クールジャパンなどと自らプロデュースしていってしまうのはどうなんだろう、という疑問)。
監督の石山友美さん曰く、真面目に「社会との関係」ばかりに向かい過ぎてしまうと、本来の建築の楽しさもなくなってしまう。社会との関係だけではなく、作家のエゴというものも大事で、実はこの二つは共存できるんじゃないか。(‪http://www.cinra.net/interview/201505-sejimaishijima‬ より)
この感覚にはとても共感できるので、いまいち映画を通してこの感じが伝わってこず、全体的にうっすらと閉塞感が漂っていたのはもったいないような気がした。「これまで」の話に加えて、もう少し「これから」の話が聞きたかった(まあ自分で考えろ、ということなのかもしれないけれど)。