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縄文号とパクール号の航海のwigglingのレビュー・感想・評価

縄文号とパクール号の航海(2014年製作の映画)
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自分たちで手作りしたものだけを使ってインドネシアから日本まで航海するという冒険ドキュメンタリー。あまりの無謀さ故に3年もかかってしまい、はじめは単なる道楽だった冒険が別の意味を持ってしまったという摩訶不思議なお話。

「グレートジャーニー」って観たことないんだけど、有名なTV番組なんですかね。その関野さんと学生、現地で募ったクルーたちが挑んだ馬鹿馬鹿しくも壮大な4,700kmの旅。
古代の航海を再現するためにカヌーを木から切り出すんだけど、木を切るための斧さえ砂鉄から作る。その砂鉄も海岸で磁石を使って集めるという徹底ぶり。エンジンやGPSはもちろん、コンパスすら使わずに人力と風力だけで。

2度の中断を経る過程で、彼らは311とクルーの死を経験する。自分たちが挑んでいる自然というものの正体と対峙することになるんですね。命のやり取りが行われる場としての海、そんな場所でこのまま旅を続けるべきなのか。
常に穏やかな関野さんの心中は荒海のように揺れていたはず。この辺りの葛藤が本作の一番の見所ですね。

「じゃない方法」でこの効率最優先の世界に挑む、これってある意味一番の贅沢でもあるわけで。まぁ羨ましいですよ。
彼らはこの旅でいろんなものを得たと思うけど、その小さな欠片を分けてもらえるかもしれない素敵な作品でした。
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