持て余す

セルの持て余すのネタバレレビュー・内容・結末

セル(2015年製作の映画)
2.6

このレビューはネタバレを含みます

ゾンビ映画亜種。

巨匠スティーヴン・キングの原作だからと言っても当たり外れはあるし、好みの問題だってある。だから、キング原作ものを見るときはやや警戒しがち。

他のホラー作家もそうだろうけど、キングは自分が怖いと思うものや嫌悪感を感じたものをテーマにとって作劇する、というようなことをどこかで読んだような気がする。また、その不快な感情を描く対象は割と普遍的なものなので、読む側見る側も共感──恐怖を感じやすい。ただ、これが時々ズレてしまう時がある気がする。

で、この作品のテーマはタイトル通りでセルフォン──携帯電話だ。

原作小説が2006年に発表されたようなので、世間に携帯電話はすっかり普及が済んで、スマートフォンはまだ台頭前の頃。ただ、映画はそれから10年後の2016年の公開なので、もうすっかり世の中はスマホの時代。このズレはなんか致命的だった気がする

個人的な感想だけど、より不気味に感じるのはフィーチャーフォンの方じゃないかと思うし、この物語の着想もそこだと思う。ひとりでいるのに誰かと話しているあの独特の感じがスマホだとやや薄く感じられる。また、スマホの場合、性質的には携帯電話というよりも携帯端末だっていうのもあるし、通話が主目的の機械でないと、この物語の設定にはそぐわないようにも思う。

だから、なんだかズレを感じながら見る羽目になる。グラウンドで寝ている大量の乗っ取られた人たちを処分するところだとか、なかなかショッキングなシーンもあったけれど、どこかいまいち。設定がブレていたり、危機的状況なのに呑気な感じ(酔っ払ってる場合じゃないよね)も興が削がれる一因になっている。

だから、最後のシーンもただただ「?」となってしまって効果が薄い。せめてフィーチャーフォンとスマートフォンの機能の違いを活かしたなにかが挟まれたりしていたらよかったのに、途中からはもう電話とかそういう問題じゃなくなってた。全体に残念な感じ。

サミュエル・L・ジャクソンはよかったけどね。
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