Masato

ワンダーウーマンのMasatoのレビュー・感想・評価

ワンダーウーマン(2017年製作の映画)
4.8
人間を人間たらしめるものとは?

まず、Siaが歌うワンダーウーマンの主題歌の町山氏による和訳を読んでいただきたい。

http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/touch/20170826

DCEU作品。DC系の作品ではダークナイトライジング以降不評が続いたが、今作で不評の流れを完全にストップ。まごうことなき傑作映画が生まれた。

というのも、単なる娯楽で完結しない。あらゆるメッセージが隠されていて、性別関係なく、誰が見ても深く感動できる作品になっているということ。

ワンダーウーマンが第1次世界大戦で気づくのは人間の醜悪さ。人間に絶望した彼女は救う価値がないと感じてしまう。
人間はおとぎ話のような善悪では片付けられないものがある。だからこそ、人間を深く理解し愛することが必要になる。
人間を人間たらしめるものとは「愛」
愛こそが世界を救えるとワンダーウーマンは決心した。
この映画は、今世界中で起きている憎悪の連鎖に「汝の敵を愛せ」と一石を投じている。

そして、この映画はパティ・ジェンキンスという女性監督が撮っていて、謳い文句のとおり、女性監督として史上最大の売上を記録した。
この映画は女性の強さを描くということをしたかったのか?と思うと決してそうでは無いように感じた。

本当に強い人間というのは、いくら絶望を感じても、信じ、愛すること。それができる者こそが強い人間であると訴えていた。決して、女性が、とか男性が、とかではない。
ロンドンにおいて女性差別が顕著に描かれているのは、このメッセージに気付かせるための伏線だと私は思う。

人間を愛することの大切さ。いくら絶望を抱えても諦めずに貫き通すことの大切さ。
この大きな2本柱がワンダーウーマンのメッセージだと私は考えた。


映画的にも本当に素晴らしい出来で、アメコミ映画ながら本格的な戦争映画感が味わえる。
薄汚れた空気の悪い空間を見事に表現していて、ソリッドな雰囲気が戦争映画らしくて良い。
スローモーションを多用したガルガドットの近接戦闘シーンは物凄い迫力。
ロンドンでのシーンはコミカルに演出していて、何も知らない人が都会に来たら?みたいな面白さを味わえる。

主演のガルガドットはイスラエルでの従軍経験があるので、アクションは本当に凄かった。美人で強いって完璧すぎる。

アクションもドラマも高水準な素晴らしい映画。MCUとは、やや毛色が違いがあって、差別化できている見事な映画だった。

日本の主題歌は論外。何を考えたらこうなるのか疑問でしかない。監督の製作意図を踏みにじるとてつもなく不愉快な対応だ。
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