さく

ワンダーウーマンのさくのレビュー・感想・評価

ワンダーウーマン(2017年製作の映画)
3.5
「何度もがっかりさせられたDC映画だけど今度こそは…」という思いを胸に観に行った人も多かろう本作。私もですよ!

結構評判も良いし、期待も膨らみましたよ。
そんで評判通り結構良かったですよ。

特に主演のガル・ガドットには☆5です。強くて本当に美しい。私も盾を持って踏み台にされたいですよ。

監督のパティ・ジェンキンスも良い仕事をしていて、何と、この映画一番の見せ場である『ノーマンズ・ランド』のシーンは制作のしょうもない男性陣から「これ要るの?」とか言われてカットされそうだったところを、彼女の踏ん張りで残したと(『映画秘宝』より)。あのシーンが無かったら「また今回もやられた!」と残念な思いで帰ってくるところでしたよ。そんくらい重要でかっこいいシーンをカットしようとするとか、センスが無さすぎてハゲ上がりますよ。ザック・スナイダーか!?

と、このシーンに関して鳥肌モノの名シーンだったのですけれど、私的にマイナスポイントが多々あって☆3.5。

ここからネタバレも入ります。

舞台設定とかプロットは「なんかいい感じ」なのだけれど、どうも脚本とか演出が薄っぺらい(アメコミ映画の宿命?)ので、どうも感情的に入り込めない。

「人間悪い人もいれば善い人もいる。それが人間」みたいなテーマはわかるんだけれど、それだけではチープな勧善懲悪になってしまうので、一応、スティーブ(クリス・パイン)に「戦争の責任は俺にもあるんだ!」とか言わせて、「善人にも悪の要素はある」的な風を匂わせてはいるものの、匂わせるだけで終わり。そこをもう少し描いてくれないと、「神」である、ダイアナの人間に対する「赦し」や歩み寄りが説得力なくなると思うんですよね。結局、悪い人間は悪く、善い人間は善く、に終始。「神目線」で俯瞰的に見渡せばそれで良いのかもしれないけれど、人間ってそんなんじゃないでしょ。

そういうのを台詞だけで「愛だ!」とか言うんじゃなくて、映像なり何なりで魅せて欲しいのですよね。例えば、マル博士を「赦す」シーンだけれど、何で赦したのか説得力が一つもない。顔に傷を負っているのであれば、何かしら重大な「過去」を抱えているのかもね? という想像はつくけれど、これと絡めて、彼女の「人間的なもの」を浮き彫りにするような演出とかいくらでも出来たと思うんですよね。ここで、(原作の設定は知らないけれど)顔が傷つく前の写真、例えば旦那さんと娘とのスリーショットが倒れた表紙にポロッとポケットから落ちる。フラッシュバックで「戦争によって旦那と娘を奪われ、顔に傷も負って差別的な扱いも受け…」みたいなシーンを挟む。その写真を大事そうに拾い上げるマル博士を見る…ダイアナは赦す…とかね。彼女にも「ああなった」理由があるのだ(ただのMADかもしれないけれど)。そういう丁寧さが全編通してイマイチ感じられない。そこまで細かいこと気にする人は、アメコミ映画見るべきじゃないのか…

あと、せっかく途中まではアクションシーンとかも「今回はかっこよくていいね!」と思っていたのに、また最後は暗闇でババーン! ドドーン! みたいな展開になって激萎えでした。

監督に自由にやらせてあげたら、もっと名作になったんでは?
さく

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