みゆ

ワンダーウーマンのみゆのレビュー・感想・評価

ワンダーウーマン(2017年製作の映画)
3.6
2017.09.01(179)
劇場・字幕


最初の方のアクションシーンはすこぶる格好良くて100パーセント集中し、また興奮のあまり鼻血が出そうな勢いだった。実に良かった。

だが、だんだんと見ていて辛いな…という部分が増してきて、最後の方は困惑ゆえ集中力を欠いてしまった。

今作を撮ったのが、あのモンスターを撮ったパティ・ジェンキンスだとは到底信じられなかった。彼女は私と同じ年齢だ。だから女性が過去どう扱われ、どのように、何を勝ち取ってきたか、また何を犠牲にしてきたか、同じ時代の流れを生きる者として、それらの理解にそれほど大きな違いはないはずだ。だが私の思い描くワンダーウーマンは、ここには描かれていなかった。

女性というものをいかに表現するかという点で、ジェームズ・キャメロンによる今作への「あの映画がもてはやされているのは、映画業界の見当違いな自己満足に過ぎない。女性を物とみなして描くという、男性上位主義のハリウッドが昔からやってきたことを繰り返しているだけで、映画業界にとってはむしろ後退といえるだろう」という批判に私は大賛成だ。

今作ではダイアナ(ワンダーウーマン)のキャラクターに無垢な天然っぷりを入れただけではなく、更にメガネをかけさせたり様々なお着替えをさせたり、まるで(悪い意味での)インスタ映えや萌えを思わせるようなシークエンスもあった。だが私にはそこまで可愛らしさや美しさを強調せねばならぬ理由は分からなかったし、格好良い主人公を強調するならするで、もっと別の手法があったのではないか…と残念でならない。

ガル・ガドットがダイアナを演じているのだから、いわゆる女性的な魅力というのは、それだけでもう十分だと思うんだよな。そこに更に「可愛いでしょ!美しいでしょ!」という演出を加えたのが余分だったようにも思う。

ダイアナは口では争いを止めたがっているのに、一方的な意見だけを聞いてそれを信じ、真相を深く見極めず、無防備に戦いの中に入っていく。戦いを止める為に戦うという矛盾を自覚し苦しむような場面はひとつもなく、とにかく可愛く美しく強い女性のアイコンとしてのみ存在していた。それがとても辛かった。

あと希望よりも人間の愚かさの方が強く描かれていたように思えてしまい、それも辛かった。確かに人間は争いをやめられない愚かな生き物だが、そこをただそのままに描かれてもな…

最初のアマゾンの島のところだけ繰り返して見たいです(笑)

スコアはすごくカッコ良くて◎
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