てぃだ

ワンダーウーマンのてぃだのネタバレレビュー・内容・結末

ワンダーウーマン(2017年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

恥ずかしながらその昔、一時期小説を書いたことがある。その時に書いた短編にこんなのがある。近未来、技術の進歩により「男性なしでも生殖、すなわち妊娠」が可能になる。で世界中の女性たちがふとこう気づく。「あれ?じゃあもう男って必要なくね?だってあいつらろくなことしないじゃん」。となって女性が男性に宣戦布告。世界中で「男性VS女性」の地球をめぐる戦争勃発。結末は、最終的に女性が勝利して男性は(文字通り)根絶やし(男根絶やし=去勢で性転換)か全員殺される。その後、人類が滅亡するまで地球で人類が戦争を起こすことはなくなった・・ちゃんちゃん。という設定。いやぁ我ながら何ちゅうばかばかしい設定だと思う。そんなわけあるか。







が、『ワンダーウーマン』の冒頭の見せ場の一つである戦闘シーンを見ながらふとその小説のことを思い出した。女性戦士VSドイツ軍のガチの殺し合い。女性戦士たちの武器は弓と鍛え上げられた身体でドイツ軍の武器はもちろん戦車に銃。文字通り「男性VS女性の殺し合い」が繰り広げられる。いやぁもう最高である。戦争が男のものだなんて誰が決めたんだろうと言いたくなるぐらい鮮やかな戦いっぷり。女が技を決めるここぞという場面には決まってスローモーションになるのにはちょっと苦笑してしまうけど。ここだけにとどまらず、後半の見せ場である女が先陣を切って戦場を突っ切る場面も含めてとにかく気持ちがよい。女に次々と浴びせかけられる銃や爆発の数々は「女性」と言う存在がこれまでの長い歴史の中で浴びてきた様々な苦難や偏見、茨の道のメタファーそのもので、それを全世界の女性代表=アマゾネスの王女ワンダーウーマンがどんどん跳ねのける。その雄姿を見ているだけで何だかとっても泣ける。武器が剣と盾だけでなくて鞭みたいなのも使うのもよい。







思った以上にアクション場面や派手な場面が少なく、アメコミであることを忘れそうにすらなる。の割に「女性しかいない女性の世界で育った」者ならではの人間世界の矛盾や男性観、ひずみの批判や笑いが結構浅いのなぁと感じる(アマゾネス界にあるらしい「性的快楽入門?」とかいう本はぜひぜひ読んでみたいと思ったwしかし「男は生殖に必要だが快楽には必要ない」ってセリフはちょっと正直びっくり。マーヴェルヒーローがそんなこと言うのか。)し、せっかくパティ・ジェンキンスが監督なのにフェミニンな要素が思った以上に活用されていない(これはアメコミ映画の宿命かもしれない。才能あるクリエイターが思う存分その味を出し切れない感じ)し、クリス・パインはまだしも、彼主人公の周りにいる仲間たちのキャラも弱いなぁと感じる。けどまぁそれでも「この世界はあたしが守るに値しない」と絶望したはずのワンダーウーマンが結局「それでもこの世は捨てたもんじゃない」と思い直すきっかけが「愛」ってのがやっぱり女性らしくてニンマリ。おっぱいぽろりとか妙なお色気みたいなフェミニンな部分は一切見せないくせに、それでも本質的に「愛」なんてものでアッサリ人生観かわっちゃうあたり、やっぱり女性だなぁと思う。それともアマゾネス界にも少女漫画やハーレクイン小説、ってあるんだろうか。そのうちバットマンによるワンダーウーマンへの壁ドンなんかももしかしたら出てくるかもしれない。んなわけないか。






あ、そういえばこの映画の中で主人公のことを誰も「ワンダーウーマン」なんて呼んであげてなかった(はず)んだけど、どういういきさつでワンダーウーマンなんて呼ばれるようになったんだろう。なんでスーパーウーマンじゃなくてワンダーウーマンなんだろう。そこんとこちょっと気になった。
てぃだ

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