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ワンダーウーマンのsiaのレビュー・感想・評価

ワンダーウーマン(2017年製作の映画)
3.6
DCEUはここまでちょっとイマイチな作品が続いてたんだけど、今作で結構巻き返せたかなと思います。個人的には期待していたものが見られて楽しかったです。

『バットマンvsスーパーマン』や『スーサイド・スクワッド』の問題点は、脚本の甘さ以上に、好きになれるキャラクターがほとんどいないというところにありました。

その点、今作は魅力ある登場人物が多く、またこの作品ならではのオリジナリティーがありました。

ガル・ガドットのワンダーウーマンは文句なく素晴らしいです。
美しくタフな女性像がうまくハマっているし、今作では世間知らずというコミカルな一面が追加されたことで一層キャラクターの個性が深まったように思います。

この作品では女性監督を起用していますが、女性ヒーローならではの演出をうまく盛り込みながらも、それを執拗に押し出しすぎることなく、あくまでもヒーローを描くことに注力していたのが良かったです。

そしてもうひとり、彼女よりもさらに好きになったのがクリス・パイン演じるトレバー大尉です。
彼はハンサムで腕も立つ優秀な軍人なのですが、さながらヒロインのような役回りになってしまっているのがなんだか面白いです。
これも女性ヒーロー映画だからこそ生まれた役柄という感じでとてもユニーク。
それだけでなく、彼自身の人間性やダイアナとの絆もしっかり読み取れて、とても愛着の持てるキャラクターでした。
四人目のクリスとしてMARVELにも来てくれないかな……。

ストーリー自体も十分に楽しめました。
個人的に、ヒーローと戦争映画ってけっこう食い合わせの良い題材だと思ってます。
過酷な戦場でヒーローが大活躍してくれるっていう絵面が単純にスカッとするというのもありますが、それだけでなく、その力の限界や戦いの虚しさを感じさせてくれるような展開が好きです。

『キャプテン・アメリカ』の一作目でもそうでしたが、どんなに強いヒーローがいたところで、結局一人で戦争を終わらせることはできないんですよね(スーパーマンぐらい強ければまた別かも知れませんけど)。
今作でも、そういった単純にはいかない現実や戦争の無情さというものをきっちり描写してくれて良かったです。

強いて言うなら、ラストバトルはちょっと微妙だったかな。
二段構えの展開自体は面白いんだけど、それまで埃っぽく殺伐とした戦いを繰り広げてきたのに最後だけ急にCG満載で全体から浮いてるように感じました。

どうしてもDCEUの中での相対評価になってしまうんだけれど、アクションもストーリーも面白く、下手に先への布石をばら撒いたりせずにしっかりひとつの作品を描き切ってくれたので満足度はかなり高かったです。
いやほんと、他の作品もこんな感じにやってくれればいいんですけどねえ。
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