みさき

リリーのすべてのみさきのレビュー・感想・評価

リリーのすべて(2015年製作の映画)
4.8
久しぶりに胸に突き刺さる映画を見た。物語は、今まで観た映画の中で1番と言っていいほど終始心が苦しかったが、画はとても美しい。素晴らしい映画だった。

2人とも画家として働くアイナーとゲルダ。ゲルダがアイナーに女性役の絵のモデルを頼んだことをきっかけに、アイナーが自身の女装姿であるリリーこそ、本当の自分だと自覚し始め、人類で初めて性適合手術を受ける物語。

当時今よりもはるかにジェンダーの理解が少ない世界で葛藤するアイナーの苦しさも言わずもがなだが、自身の夫が自分の愛する男性ではなく女性へと変わっていく様子を1番そばで見続け苦悩しながらも最も献身的にアイナーを支えたゲルダの苦しみも考えるとさらに胸が苦しくなった。

一方で、2人が描く絵や、コペンハーゲンの街並み、そしてエディ・レッドメインの演じるリリーの美しさ。印象的な場面もとても多いのも1つの特徴であるように感じた。

見事にトランスジェンダーを演じきったエディ・レッドメインも素晴らしかった。仕草が次第に女性へと近づいていく様、アイナーとリリーの間で苦悩する姿を見事に体現していた。

最後に後のLGBTQの礎を築いたリリーエルベに敬意を表したい。
みさき

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