あゆむ

リリーのすべてのあゆむのレビュー・感想・評価

リリーのすべて(2015年製作の映画)
5.0
1920年代、現代とは違い性同一障害の人は異常者や精神分裂と呼ばれていた中、世界で初めて性転換手術を受けたリリーの物語。

劇場公開の時からずっと見たかった作品。やっとの思いで見ることができました。

結婚生活6年でマンネリもなく幸せな家庭を築いて子作りにも励んでいた夫婦。ある日、妻のゲルダが夫のアイナーを女の被写体の代役に頼んだその日から、アイナーの中に眠っていたリリーが少しずつ目を覚ましていく、、、

「博士と彼女のセオリー」の時にも演技を超えた演技をして見せたエディでしたが、今作では自分の中にある女性が徐々に露わになっていく姿を見事に演じていて本当に女性なんじゃないのかと、わからなくなるほど素晴らしい演技を見せてくれました。
そして、その妻を演じたアリシア。ずっと愛していた夫が徐々に女性へと変わっていく姿を戸惑い悲しみそして、受け入れていく愛の形を見事に表現してくれました。アカデミー賞助演女優賞も納得です。ゲルダは視聴者視点なので、彼女の葛藤が節々まで伝わってきます。

舞台であったヨーロッパも、街中すべてが美しくそれもまた芸術の世界そのものでした。いつか訪れたくなります。

文芸映画をあまり見たことがありませんでしたが、こういった作品が公開されるたびに魅了されます。昔の文芸映画にも少しずつ見ていきたいと思えるほどになりました。余韻に浸りすぎて1920年代のヨーロッパ、デンマークで過ごしてる夢を見ました。笑

昔ほどトランスジェンダーの偏見はないですが、監督のインタビューでも言っていましたが、この映画で変えることはできなくても、きっかけになったら嬉しいと。自分もそれほど知識があるわけではないので、この映画をきっかけとして見方は確実に変わりましたね。

自分の中で本当に深い意味でいい映画に出会えたと思います。

2016年映画でベスト1位です。
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