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リリーのすべてのぴよぴよのレビュー・感想・評価

リリーのすべて(2015年製作の映画)
4.2
エディの手の動きやまなざしが優雅で美しくて…たまらないほど切なくて哀しい。妻ゲルダのひたむきさもまた哀しい。

女性に憧れて女性になりたくて…
妻が思いついたお遊びの女装だったのに、画家アイナーはリリーへと変身する。二重人格?性的倒錯?

男性の体をまとっていても心はだんだんリリーになっていく…戸惑いながら見守る妻。夫を愛しているから見捨てられなくて、ゲルダはリリーの母のような気持ちになっていく。

心と体の性が相違してる人の哀しみ…1920年代は今よりもなお偏見の目が厳しかっただろうと思うとさらに切ない。

エディの演技が見事過ぎて。
ストッキングを履いてうっとりとドレスに身を委ねるシーン。
おずおずと男性からのキスを受けとめるシーン。
鏡の前で自分の裸体を手でなぞりながら陶酔の表情を浮かべるシーン。
娼婦の動きを見ながらガラス越しに真似るシーン。
もうエディに釘付けです。

マリリンに恋する青年にも、レミゼの歌う自由主義者にも、ホーキング博士にも、魔法使いにも…何にでもなれるあなた。

もしかしたら本当の魔法使いなのかも🧙‍♀️

アリシアヴィキャンデル演じる妻が切な過ぎる。
夫だった男性が女性になってしまう…それを献身的に支えるなんて私にはとても出来ない。

ダンディなアイナーの旧友マティアススーナールツ。
この人"レッドスパロー"に出てたプーチン大統領似の叔父!
この映画でもやっぱり似てる!
でもってステキ〜♡

同性との恋愛を絡めず、性の不一致の精神的苦悩を描いてこんなにも切ないトランスジェンダーの映画を知りません。

最後の手術を終えて"ようやく自分になれた"と言うリリー…本当の自分になれて幸せだった?ラストの空を飛んで行くスカーフのように自由になれた?🍃
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