1928年デンマーク。実在した芸術家夫婦の変化と成長の軌跡。
本筋から細部に至るまで、徹底的に端正で美しい映画でした。屋内も屋外も人間の営みもすべてが絵画的で、本作に出ていたモチーフだけでなく、古今の芸術に詳しければ様々なオマージュを発見できたのかもしれません。
シンプルな英語でありながら心理描写は複雑で力強く、現れるたびに存在感を増すリリーの迫力や、困惑しながらも最良の道を模索しようとするゲルダの強さ/弱さに、何度も背筋が震えました。
"障害"では片付けられないアイデンティティの壮絶な戦い。肯定されることで初めて、人生が始まることを知る物語です。