観たのはけっこう前だけど……。
『ブロークバックマウンテン』で夢に見て苦しむほど心を抉られた記憶が未だ鮮明な私としては、確実にダメージを受けるに違いないと思いつつ、観ないわけにはいかなかった。
もう、ゲルダとリリーが舞踏会に行ったあたりから、涙が止まらなくなってしまって大変だった。ゲルダの葛藤が始まるのかと思うと平常心ではいられなくて。そして、ゲルダの苦しみは本当に丁寧に描かれていた。
夫がリリーという【本当の自分】を見つけてしまったこと。夫を深く愛するが故に痛いほど分かる気持ち。
そして、その事実をなかなか受け止められない女としての、妻としての自分。
ゲルダの葛藤は真に迫っていて、グリグリと心を抉ってきた。
2人で医者に会いに行くシーン。
“And I believe it too. ”
と言ったゲルダの強さと愛情の深さに、もうボロボロと涙が出てしまった。あんなに深い愛情を持てるものなのだろうか。
リリー役のエディ・レッドメインの演技も確かに素晴らしかったが、ゲルダ役のアリシア・ヴィキャンデルが最高だった。彼女の演技がなければ、こんな作品にはなっていなかったはず。
あと、ハンス役のマティアス・スーナールツがカッコよすぎてビックリ。画面を直視できないほどのフェロモン……なんだあれは。プーチン大統領にそっくりだったけれども。