◆あらすじ◆
1970年、身寄りのないジョンテとヨンギは屑拾いしながら廃れた小屋で兄弟のように暮らしていたが、強制退去で小屋を破壊される。お金目当てに2人はヤクザの全党大会妨害工作に参加するも、混乱の中で離れ離れになってしまう。それから3年後、ジョンデはヤクザから堅気になったギルスの親子と共に暮らす傍ら、組織を率いてとして江南地方の土地開発に手を伸ばす。そこで敵対する暴力団組織の人間としてヨンギと再会するのだが...。
◆感想◆
かつて兄弟同然だった2人が江南地方の土地開発をめぐる争いに飛び込んでいく姿を描いており、そこには政治家、企業、暴力団などが陰で蠢く混沌とした世界になっていて、2人の関係もその混沌の中で変化していく様子が醜いながらも人間らしく、切なさを感じさせるものになっていて、欲望の恐ろしさを実感させる内容になっていました。
ジョンデ(イ・ミンホ)とヨンギ(キム・レウォン)の関係を軸にストーリーが進んでいき、ストーリーの序盤で2人が離れ離れになって以来、それぞれヤクザとして生き延びており、親も住む家も持たない2人がヤクザとして生きざるを得なかったことがなんとも歯がゆいのですが、ジョンデは洗濯屋になったギルス(チョン・ジニョン)の世話になっていたことから、堅気になるチャンスはあったように思います。しかし、ジョンデはギルスへの恩返しするためにもヤクザの道を進んで大金を得ようとしており、なんとも皮肉的でした。一方、ヨンギは暴力団の汚れ仕事を多く担当して、高い地位を手に入れており、完全にヤクザに染まっていたように感じました。
韓国・江南地方の土地はまだ未開発であり、その土地に価値をつけて儲けようとして政治家や企業、暴力団が手を伸ばしてくるのですが、この手口が日本のバブル期に似通ったものがあって、本来の価値よりどんどん高騰していく様子はどの国でも土地をめぐって金儲けする連中の悪そうな姿は変わらないように思いました。
ストーリー中盤からジョンデとヨンギが裏で手を組んで土地で大儲けを図るのですが、他者を出し抜いて利益を得ようとする以上、危険な雰囲気がどんどん高まっていきます。ここから誰が味方で誰が敵なのか分からないようになっていって、2人の関係にも亀裂が走るようになります。暴力的なシーンが多くなりますが、ヤクザ連中の戦いであるがゆえに当然ともいえる展開になっていて、観ていてスリリングで面白かったです。
ラストは暴力と欲望にまみれた世界に生きたものの宿命のようなもの感じて切なかったです。
利権争いの醜さがリアルに描かれているとともに、主人公2人の劇的な生き様が印象的な作品となっていて面白かったです。
鑑賞日:2025年3月17日
鑑賞方法:CS ザ・シネマ
(録画日:2024年3月29日)