星降る夜にあの場所で

十字路の夜の星降る夜にあの場所でのレビュー・感想・評価

十字路の夜(1932年製作の映画)
4.6
購入ソフトにて初鑑賞。
都合がつかず、劇場鑑賞出来なかった作品。

ブロードウェイさんから発売されている『ランジュ氏の犯罪』はフィルム・ノワールとは言い難い作品(秀作です)でしたが、同発売元のこちらの作品はフィルム・ノワール感満載。
フィルムの欠落など全く気にならない仕上がりです。
ルノワールの作品群で唯一の本格的な犯罪映画ではないのでしょうか。

弟ジャンの作品2度目の出演にして主演のピエール・ルノワール。
ノワールにもってこい面構えが堪りません(犯人、刑事どちらでもイケる)。

犯罪映画においてもルノワールの演出は冴えわたっています。
・まずは専売特許でもある売店(ローアングルのカメラが客の足元だけを写し出し、売り子と客との会話が聞こえます)の前の排水溝に流れる水と洗面所のコップに溜まる水(音もしっかり聞こえます)
・聴取を取る刑事と記録係それぞれの交代
・取調室がタバコの煙(だんだんと曇っていきます)
・新聞記事の内容と捨てられる新聞
これら全ての要素で時間の経過と捜査の進み具合を表現。

その他にも、おぉ~と唸る演出が随所に散在しているのですが、中でも驚かされるのが数々のナイトシーン。
いや~素晴らしいの一言。
書いていくとネタバレになり兼ねないので、実際にご覧になって確かめてみて下さい。

明らかに誤認逮捕であることはわかるのですが、真犯人には驚かされます。
結構な大どんでん返し劇です。

ラストシーン男の一途な愛に包まれて間違いなく更生するであろう女に対して情をかけるとある粋な演出には痺れます。

全編を通して途切れることく持続するただならぬ雰囲気は、秀逸な演出の妙に尽きるでしょう。
この作品もまた紛れもなく傑作の一つだと思います。

こんな監督の助監を何年も続けていれば、
『肉体の冠』
『現金に手を出すな』
『モンパルナスの灯』
『穴』
…等の秀・傑作を作り上げても何の不思議もありません♪