滝和也

十字路の夜の滝和也のレビュー・感想・評価

十字路の夜(1932年製作の映画)
3.5
ジョルジュ・シムノン原作
メグレ警視シリーズの一遍
をジャン・ルノアールが
監督したフィルムノワール。

「十字路の夜」

フランス郊外の田舎町。交差点に3軒しか建物がないような田舎で殺人事件が起こる。盗まれた車がガレージで見つかり、その中でオランダ人宝石商が殺されていた。ガレージの所有者が逮捕されるも、否認。証拠がないことから、釈放される。メグレ警視は仲間と共に田舎町へと捜査に向かうが…。

先日レビューしたモンパルナスの夜と同じくメグレ警視のミステリー・サスペンスです。今作の筋立てはフーダニット(犯人探し)が主筋。中々その犯人には唸らされます。

とは言え…どちらかと言えばファムファタールものであり、フィルムノワール的な演出を楽しむべきなんですよね…。妖艶な美女がキーになり、メグレを翻弄。作品すら翻弄します(笑)

また実車にカメラを載せて撮影された夜のカーチェイスの意外な迫力、ナイト撮影に浮かび上がる影、雨・泥・水を遣った演出、煙草の煙でくすむ室内などノワールらしい雰囲気が楽しめます。

ストーリーのエンターテイメント性で言えば…同じメグレ警視ではデュヴィヴィエのモンパルナスの夜に旗が上がるとは思いますが、こちらも作品の先見性や風格では負けていないのかなと感じました。フィルム・ノワールとして古典となる作品には違いなく、お暇な時にでも(^^)
滝和也

滝和也