イラク戦争で戦死した若い兵士の遺体を、故郷の遺族の元へ送り届ける任務に就いた主人公のマイク。その道中での出来事を描いたヒューマンドラマ。
故人を偲ぶ映画と言えば「おくりびと」「おみおくりの作法」が思い浮かび、いずれも良作の印象があります。本作は戦争で亡くなった兵士を偲ぶ内容。実話を基にしています。
こういった作品は当然キャストの演技力が重要。その観点だとケヴィン・ベーコンはまさに最適なキャスティング。彼の憂いを帯びた渋い表情がまた存在感を際立たせ、亡くなった兵士へ敬意を込めて丁寧に送り届ける役柄に深みを持たせていました。
亡くなった兵士の生前はどんな人なのか、行く先で知り合った人々の会話から紐解いていく流れも秀逸。ジワジワと心に染みてきます。終盤の遺族との対面も胸に響きましたね。
本作では1人の戦死した兵士に焦点が当たっていますが、実際は他にも大勢の同じような方がいたという現実。それを思うと戦闘シーンのない静かな反戦メッセージとも受け取れます。
起承転結も無く、落ち着いた雰囲気で進む作品ですが、77分という短い時間で無駄は無いので最後まで全く目が離せません。隠れた秀作。お勧めです。