たりほssk

軽蔑のたりほsskのレビュー・感想・評価

軽蔑(1963年製作の映画)
4.8
ある時点を境に、妻の夫への愛は消え軽蔑に変わってしまう。夫は訳がわからない。妻は再三サインを送っているのに、何も気づかずとんちんかんな質問を発する夫。ボートに乗る時が最後のチャンスだったのに、それさえもフイにしてしまった。

二人の気持ちの食い違いの映像化に驚いた。鮮やかな色彩(特に赤)、青空、海、強い太陽の光、スタイリッシュなアパルトマン、むしろ心が落ち着くような音楽……。ネガティブな二人にポジティブな明るい映像を合わせることで、彼らが浮き彫りにされ結晶化されていくようだった。そして神々の彫刻……。彼らの関係はもはや神の手でなければ修復できないかのように。

決定的なラストがやって来る。解釈はいろいろ、しかしこの愛を失うことは死と等しい。それまでの夫婦の愛がいかに深かったかということを表しているように思える。

ゴダール作品ってどこか突き抜けてる。素晴らしい。
たりほssk

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