カタパルトスープレックス

光をくれた人のカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

光をくれた人(2016年製作の映画)
2.9
デレク・シアンフランス監督による「家族と贖い」をテーマとした作品です。過去の作品と比べてシンプルな作りとなっています。つまり、普通の人生ドラマです。

悪い作品ではないのですが、『ブルーバレンタイン』(2010年)や『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ』(2012年)と比べると物足りない。そして、テーマも薄いんですよねえ。家族についてだし、贖いについてだし、喪失感についてでもある。盛り込みすぎなんです。

ストーリーは子宝に恵まれない真面目な夫婦が赤ちゃんを拾ってしまう話。コーエン姉妹がまだコーエン兄弟だった頃の作品『赤ちゃん泥棒』(1987年)に近いテーマだしストーリーでもあります。『赤ちゃん泥棒』の方がコメディーな分だけ面白いですけどね。本作は真面目な作品なので、途中で飽きてしまう。

キャラクター造形も平坦なんですよ。主人公のトム・シェアボーン(マイケル・ファスベンダー)とイザベル(アリシア・ヴィキャンデル)は真面目でいい人たちってのはわかる。でも、それだけなんだよなあ。深みがない。

悪い作品ではないんだけど、デレク・シアンフランス監督が作る必要あった?って感じはします。ひょっとしたら、デレク・シアンフランス監督の本質ってこういう作品なのかなあ。うーむ。