結構賛否が分かれる映画みたいだけれど、納得。個人的には賛の方。これは主人公夫婦を良い悪いで見たらダメなような気がする。自分は人間の弱さ、赦しの本質を描いた物語であると解釈した。
舞台は第1次世界大戦後のオーストラリア。孤島ヤヌス・ロックに灯台守として赴任した帰還兵トムと、明るく美しい妻イザベル。幸せな二人だったが、流産と死産に続けて見舞われる。
大きな悲しみに暮れていた矢先、男性の死体と生後間もない女の赤ん坊を乗せたボートが島に流れ着く。赤ん坊に心を奪われたイザベルは、本土に報告しようとするトムを説得し、2人は我が子として育て始めるが…。
主人公夫婦は、良い悪いで言えば、悪い。でもあのような状況で、2人のような選択をしてしまう心の弱さを自分は完全に否定することはできない。
人間は誰しも自分が一番かわいいもの。物事を自分の都合の良いように解釈したくなり、そのことによって、理性的な判断ができなくなるもの。
だから人生において様々な悲喜劇が起きるのだろうと思う。それが誰かを傷つけることは良くないけれど、しかし一方で、誰も傷つけないように生きるのは、とても難しいことでもある。
この映画は、そんな人間の弱さ、愚かさをまず示す。そして、弱さや愚かさによって過ちを犯した人を赦すことは、自分のためでなく、大切な人のためであるという赦しの本質に迫っていく。なかなかやるなあ、と思う展開。
赤ん坊の実の父親であり、亡くなった男が大戦の敵国ドイツ人で、オーストラリアでは差別を受けていた人であること、彼との結婚を実の母親の父は反対していたことが、上手い設定・伏線になっている。
終始自分のことしか考えていなかったイザベルが、最後の最後でけじめを付けることを求められ、そこで自分の本当に大切な人、今の自分に光をくれた人は誰なのかを知るシーン、おおっ、と。
そしてトムにも光をくれた人がちゃんといていい映画だったなあ、と個人的には満足感高めでした。
●物語(50%×4.0):2.00
・自分は好き。
●演技、演出(30%×4.0):1.20
・灯台暮らしの雰囲気良かったのではないかと。イザベルのうっとりした目、さすがこれを機に交際を開始しただけのことはありますね。
●映像、音、音楽(20%×3.5):0.70
・風景など、美しかったように思う。
●お好み加点:+0.1
・賛なので。