kyo

光をくれた人のkyoのレビュー・感想・評価

光をくれた人(2016年製作の映画)
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遠く離れた島で二人っきりで暮らす灯台守の若い夫婦。
子供の命を授かるが二度も流産で失う。
身も心も傷ついた二人のもとにある日ボートが漂着する。
中には父親と思しき男と幼い赤んぼがいた。
父親と思しき男は既に息絶えていたが赤んぼは奇跡的に助かっていた。
職務からすぐに報告をしようとする夫を押しとどめて、
妻は自分らの子どもとして育てようと主張する。
子供は二人から親の愛情をたっぷりと受けながら
島ですくすくと育っていったが、
ある日、海で夫と子供が行方不明となったまま
悲しみにくれている女の存在を知り、夫は罪悪感に苦しめられる。
さて、この物語の行く末は……?
こんな話でした。

自分ならば一生秘密にしたまま父親としてその子を育てるけど、
それでは映画として物語が進んでいかない。
悲劇的な話にならないようにという自分の願いとはうらはらに
話はどんどん悲劇的に進んでいくので、途中で観るのが辛くなりました。

海や島の風景がこの世とは思えないほど美しくて
なおさら胸が締め付けられるような思いになりました。

灯台守の夫は第一次大戦に従軍した英雄、ということはたくさんの人の命を奪った経験を持っている。
ボートで死んだ男は敵国のドイツ人で日常的に回りから白い目で見られている。
話の底流に戦争の傷あとが見え隠れしています。

映画はハッピーエンドではないけどバッドエンドでもなく
静かな結末を迎えます。
悲しく切ないけど暖かな余韻が残る映画でした。
言葉にすると気恥ずかしいけど愛を感じる映画でした。
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