わたふぁ

光をくれた人のわたふぁのレビュー・感想・評価

光をくれた人(2016年製作の映画)
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どんな事情であれ、どれだけ愛した人のためであれ、拾った赤ちゃんを我がものとして、周りに嘘をつきながら暮らすことは、
真面目一貫、誠実な性格のトムにとっては苦しい苦しい日々だったろう。
さらにその子のルーツが明らかになるにつれて、彼の心は破裂しそうなほどだったと思う。

戦争から命からがら帰ってきたトムが、次に選んだ灯台守の仕事。独り籠って坦々と仕事をしたかった。将来の展望を聞かれても「ただ生きたい」と答えるような質素な男だったのに。
運命の女性と出会ったばっかりに、あまりにも重い十字架を背負わねばならないことになる。

...ファス様の純粋なラブストーリーなんて珍しいのでは、とパッケージを眺めて心ときめかせたのも束の間、デレク・シアンフランス節炸裂の切なく悲しいラブストーリーでした。

残酷にも、心からの“かけがえのない愛”が同じ分量で天秤にかけられたとき。
本当に真っ二つに均等された苦しい気持ちがどこか理解できるから、誰か一人のせいにして納めることは出来なかった。
どちらに傾いても愛だし、身動きが取れなくなることこそが愛なのだと思う。


(...物語自体は壮絶なものだったけど、プライベートで本物の夫婦となった主演2人のストーリーもまた美しい。末永く..♡ )