ベルサイユ製麺

光をくれた人のベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

光をくれた人(2016年製作の映画)
3.3
とっても心苦しいところですが、あんまりピンと来…。
デレク・シアンフランス監督、皆さん大好きな『ブルー・バレンタイン』も、正直自分の状況の方が遥かにヘヴィだなーって具合で、それでもまあ『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ』は大好きでした。そもそもライアンが好きでたまらないし。物語自体に命を宿そうとする大変な意欲作だと思いました。
で、今作は…。

100年程前の話。孤島で灯台の守りをする実直な男とその妻。幸せな結婚生活も、度重なる流産をきっかけに暗雲が立ち込め始めます。ある日、二人は波間を漂う小さなボートを見つけ救助します。ボートの中には赤ん坊と、既に事切れた父親らしき男…。赤ん坊に接する女の、久しぶりの心からの笑顔に、男はある決断をします。罪悪感を心の奥に抑え込んで…。

厳しくも美しい島の自然を舞台に、繊細な演技と演出で描かれる心の働きは、しかしとてもシンプルです。なので、心の働きは隅々まで見渡しやすく想像し易い反面、ちょっと図式的に感じてしまいました。なんというか…心の奥底から生まれたというより、頭の中で生まれた物語みたい。自分が醒め過ぎているだけなのでしょうけど…。やたらと導こうと鳴り続ける劇伴にも反発したくなります。
全く個人的な意見ですが、人間ドラマを描くのに、心をやられてしまった人物が出てくると“なんでもあり”になってしまう気がして没入出来ません。もう、考えるだけ無駄だな、と思ってしまう。
結末、美しいけれど、きっとそう長くは覚えていられない気がしました。例えば『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のラストシーンなら、いつだって(勝手に)思い出せます。良し悪しの問題ではなく、忘れられない物語があるのです。

ファスベンダーは相変わらずの良さです。雰囲気があり過ぎて、ストーリーをミスリードしてしまいそうでした。
あと、邦題は悪くないと思いました。

灯台守、物凄く魅力的な仕事に見えますね!でもwi-fiなさそうだしなー。ツタヤとタワレコは有るのかな?