きぬきぬ

メイド・イン・ブリテン(原題)のきぬきぬのレビュー・感想・評価

4.2
80年代初頭に脚本家で映画監督でもあるデビッド・リ-ランドが、イギリスの少年少女たちのリアルな現在を脚本した社会派TVシリーズの1本。

「マイ・ビューティフル・ランドレット」やこの頃のイギリス映画で度々描かれているけど、パキスタンなどの移民に対しての人種差別主義者、右翼ファシストによる排斥デモや破壊、暴力行為が起きていた。
主人公の16歳の少年も、仕事もなく貧しさから怒りの矛先を(職を奪われたなどで)パキスタン移民へ向ける人種差別主義者となりスキンヘッドのファシストを気取っている。だが彼と行動を共にするのが黒人の少年だという違和感を感じるのだ。
国の社会制度への不満であるはずが、労働者階級と言われていた階層に行き場が無く留まり、不満をぶつける相手が、後からやって来た同じような貧しさの移民であるという階層や社会的な問題をも浮き彫りにしている。
20歳くらいのティム・ロスがこの少年を演じているが、彼が不満や憤りを偏った思想で口汚く吐き出す場面には、こんな少年を英国社会が作ったのだという恐ろしさも感じる素晴らしさ。果たしてこの少年に更正の道はあるのか。タイトルの意図するところが凄い。



昔どうしても観たくて、イギリス留学した友だちにこれと、マイク・ リ-の「meantime」のビデオ買って来てもらったのだ。
きぬきぬ

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