規則、規律、従順、教育のUKのシステムにに挑戦している反体制映画ではないかと思う。サッチャー政権時代のスキンヘッドの人種差別だけかと勝手に思い込んでいたが、いやいやそれでは納得がいかないし深い。それに、Tales Out of Schoolと副題が物語っているようにUKの学校、それに、それを踏み外した場合の学校(Hooper Street Residential Assessment Centre)と呼ばれる更生施設など、トレバー(ティムロス)やエロル(テリーリチャーズ)を例にとって、労働階級の行き場のない子供たちに焦点を当て、こういう若者の将来性を私たちに訴えていると思う。勝手な解釈だが。
映画のタイトルやトレバーがパッキーとかパンジャビとか言って、移民の住まいの窓を割るシーンがあるが、映画にパキスタン人もインド人も出てこない。出てくるのはパキスタン人の店のショーウィンドーを破るところと『ハローズ』という中東系のデパートで万引きしたという話ぐらいだ。
トレバーは国のシステムの中にある移民政策にも反対だし、専門書類も読める優秀な若者だが、堅苦しい、この英国の教育のシステムにも乗っていけない。トレバーが夜ショーウインドーの中のマネキンの家族たちを覗くシーンからも察して、彼の家族はエロルの家族と同様、トレバーに家に戻ってきてもらっては困るんだと思う。トレバーがショーウィンドーを覗いた後の雄叫びは(Wanker!!イギリス英語のスラング)強烈だった。キツイねえこのシーンは。自分の行き場がないんだよ。暖かく迎えてくれるところが。だから、つっぱって、自分の思うようになるまで、要求する。聞き入れられなければ暴言に。エロルと自分のファイルに、放尿するシーンがあるが、なぜ、トレバーは自分のファイルを見ないのか?おかしいでしょう?怖くて自分のを見られないのだ。だからエロルのファイルだけを嗾けるが、結局はトレバーのファイルもエロルのも同じで、二人の家族は戻ってくるなと言っていると思う。誰にも好かれず、邪魔扱いされる身分になってごらんよ。悪くなるだけなんだな、、、、
最後の殴られた後の不貞腐れ、ほくそ笑むシーンが少年院を出たり入ったり悪循環になると証明していると思う。そして、反抗的な挑戦的な性格であるトレバーは飼い慣らされないよと言ってると思う。
しかし、独房で監視員に殴られた後のシーンの最後の言葉がこの映画の全てを象徴していると思う。『他の皆と同じく権威を尊重して規則に従って生きるのだ』と忠告している。