えんさん

バック・イン・タイムのえんさんのレビュー・感想・評価

バック・イン・タイム(2015年製作の映画)
4.0
SF映画の不朽の名作「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズが与えた影響を考察するドキュメンタリー。本編映像を交えながら、スピルバーグ監督やキャスト陣ら関係者のインタビューに加え、2015年を舞台にしたパート2の実現具合の検証も行っています。主人公たちが赴いた未来の日である2015年10月21日にアメリカで初公開、動画配信サービスNetflixにて視聴開始されています。特集企画『未体験ゾーンの映画たち2017』にて劇場上映されたものを鑑賞。

30〜40代にかけた人たちにとって、テレビのロードショーとかで多く見た映画作品といえば、「バック・トゥ・ザ・フューチャー(以下、BTF)」であると答える人が多いことだと思います(あと、「ターミネーター」とか、「ダイ・ハード」とかですかね)。未来を行来するタイムマシンというと、日本ではドラえもんを挙げる人が多いんでしょうが、青春疾走劇としても、アドベンチャーとしても傑出した出来を魅せている本シリーズ作を、主演を演じていたマイケル・J・フォックス、クリストファー・ロイドをはじめ、監督のロバート・ゼメキス、製作総指揮のスピルバーグらが当時の製作の様子を語ったり、本シリーズが現実社会にスピンアウトしていった先でつくっていったカルチャーや、映画の中で描かれた未来のガジェット(パート2が中心)が当時設定の未来社会である現代(2015年)でどれくらい実現可能になっているかという技術検証など、ファンにはたまらない映像が満載のドキュメンタリーとなっています。

僕自身で置き換えて、本作から受けた影響を考えると、中学を卒業して、高専以降、理数系の道に進もうと思ったのは本作が要因ですかね。中学のときは、正直、英語とか社会とか文系科目が成績が良かったんですけど、やっぱり本作なり、もっと小さい頃でいうと、それこそドラえもんなりで、もっと便利な未来社会を作ろうと思い立って、ドクのような科学者(マッド・サイエンティストですけどね)になれればと幼きながら思ったものです。まぁ、大きくなるにつれ、自分の限界というのは感じているわけですが、それでも人が便利に、かつ豊かな営みを続けていくのは、技術の力が必要だとは今でも思っています。ですので、今の自分が生きている一端というのは、BTFを観ると感じるところがあるというのもあるのです。

あと、作品を見ていて素敵だと思ったのは、僕がBTFを観て、夢見た思いとか、感動を現実社会で文化として着実に伝えようとしている人たちがいるということ。特に、映画に登場し、タイムマシンとして改造されるデロリアンは一般向けの車としては世に数千台しか作られなかったのが、オーナーたちが大切に保存し、あるいは自分なりのタイムマシンをそこに表現し、多くの人たちに振れて楽しんでもらおうとしている姿がなんとも愛おしい。その現実に登場したデロリアンに触れる小さい子たちが、やがて未来の科学者や技術者になり、更に世の中のために貢献してくれる。こう思うと、BTF自体が1つの文化を発信する伝統作品のようにも思えるのです。当時の出演キャストも、時間のある限りはそうしたコミュニティに顔を出し、文化を語り継いでいる姿にも感銘を覚えます。ここまでくると、一映画作品とは思えないほどの骨太さを感じてしまうのです。