餅太郎

軍中楽園の餅太郎のレビュー・感想・評価

軍中楽園(2014年製作の映画)
3.9
1951年から1990年まで台湾の金門島に実在した特約茶室『軍中楽園』いわゆる従軍慰安婦達の娼館、それを管轄するのが831部隊。中国と台湾が対立関係にあった1969年が映画の舞台である。

エリート部隊に配属された青年兵のバオタイと、その上官である大陸(中国)出身の老兵ラオジャンの関わり、泳げないバオタイが831部隊に転属になる経緯、様々な事情を抱えながら娼館で働く女達。予備知識無しでもかなり分かり易い話の展開になっていて、長めの尺であるにも関わらず中弛みがありません。

戦争に纏わる映画で慰安婦を扱ったタイトルは少なくは無いが、これほどスッと心に染みてくる映画はなかった様に思う。限られた地域の限られた人々のドラマだけれど、我々の先祖にもそんなドラマが実在したんだと過去に思いを馳せながら見ました。

慰問に訪れる歌手がテレサ・テン(鄧麗君)だったりするので、少なくとも戦争を知っている世代と関わった事がある年代の方にオススメします。
題材にしては控えめな性描写が後半に少しありますが、グロいシーンはありません。レジーナ・ワンをはじめとする整形も濃すぎるメイクも無しの極めて美しい女優さん達は素敵でした。(よく見ると衣装も美術も素晴らしい)

監督のニウ・チェンザーは数年後に脚光を浴びる予感で注目しています。
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