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セバスチャン・サルガド 地球へのラブレターのmajiziのレビュー・感想・評価

4.5
写真家のドキュメンタリーなのに、ラストは思いもかけない着地に静かな感動がありました。

彼の写真家としての軌跡が全てそこに繋がっていて、このぬるい邦題をつけたくなった気持ちもわかります。
厳かな雰囲気の作品なのでちょっと軽い感じですが。

初っ端に紹介された一枚の写真から説明不要な圧倒力。
そこから彼の人生とライフワークが紡ぎ出されていきます。

モノクロの写真がとにかく雄弁で美しく、時には人間のおぞましさを語ります。

危険な土地に足を運び、絶望する人々と同じ景色をながめ、見捨てられた人々を写す行為は彼自身の人生を変えていきます。

人間の愚かさに魂が病んでしまうも、自然へと回帰することで癒されたセバスチャンの穏やかで優しい眼差しと、彼や妻たちの高潔な行動力。

写真に自分を出すということは、きっとこういうことなのだと思います。

生き方が、そのまま写るということを教えてくれる作品でした。
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