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セバスチャン・サルガド 地球へのラブレターのtransfilmのレビュー・感想・評価

4.4
セバスチャン・サルガドの写真家としての人生をたどるドキュメンタリー。監督はヴィム・ヴェンダース。映画のタイトル(原題)は、「人間は地球の塩なのだ」という、冒頭のサルガドの言葉から。

この映画、とても静かな語り口の映画。それは映画の終わりまで変わらなかった。だけど、観てるうちに、じわじわとサルガドの生き方、サルガドが観た地球の姿、写真に写されたものの壮大さに襲われる。そんな映画だと感じた。
映画は、サルガドの写真家としての活動プロジェクトを年代順に追っていくのだけど、最初のサルガドは「冒険好き」から始まり、次第に、アフリカの飢餓やルワンダのジェノサイドを写す「社会派」にかわり、最後は、北極やジャングルなど「ありのままの地球の姿」を映す写真家となる。
「「社会派」の写真家が風景を撮るなんて!」という批判もあったそうだけど、個人的に感じたのは、サルガド自身は最初から最後まで何も変わってないのではないかなと。この人は、人間自体も森や動物と同じ地球の一部ととらえてて、人間を含めた地球の姿を観ることが大好きな人なんだろうと思う。
飢餓や、虐殺も、地球の一部の姿として写されている・・そういう印象だった。

自分は、子供の時に写真を観るのが好き(特に風景)で、お年玉で日本の四季を映した写真集を買ったりもした。ただ、自分で写真を撮ったりするほどははまらなかった。
今思うと、子供のころから写真を観るのが好きだったから、映画にもはまったんだろうなと思う。写真好きと映画好きは間違いなく共通するものがあると思うし、特にヴィム・ヴェンダース監督は、映画の映像を観てるとそういう監督だろうなと思う。
ヴィムヴェンダースはなんとなく、年をとったなという印象があった。ヴェンダースの映画は昔から大人の映画だったけど、最近はドキュメンタリーを撮るようになって、ますます熟年の渋さを感じますね。

社会派映画ともいえるけど、もっと壮大なテーマも感じられる映画だと思う。人間社会という枠を超えていると思う。
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